人造羊皮版『生命の實相』地の巻 発行日についての考察

私が所有している人造羊皮版『生命の實相』地の巻は合計三冊ありますが、蒐集は随分前となり、『著作集』に書き写した時期も20年程前になります。発行日について多少の迷いがあったのは事実ですが、昭和10101日としました。しかしどうして迷ったかというと、第六十八版人造羊皮装印刷が昭和141115日で同発行が昭和141120日となっているからです。本来はこのような場合は初版を有効にして記載いたします。

だが、昭和10101日とすると、その当時は人造羊皮装まだ発行されていない時期でもありました。ただ、三方金總黑革豪華版、いわゆる革表紙版は発行日が昭和711日と記載されています。これも本当は不思議だったのです。

 『生命の實相』の最初のものは昭和711日であるからです。

あくまで想像ですが、同じ活版印刷の版を使ったからではないかと思っています。

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上図は昭和10101日初版発行の『生命の實相』人造羊皮装版です。

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上図は昭和18515日第四版発行の『生命の實相』人造羊皮装版(初版昭和15229日発行)

 

さて、人造羊皮版『生命の實相』地の巻について話を戻しますが、私の所有している全てのものがこの発行日つまり昭和141120日となっているわけです。初版は昭和10101日です。

或る方から間違っているのではないかという御指摘を頂きました。そのコピ-を見ると初版発行日が昭和15229日であるからです。何故そのようになったかという考察を行いたい。

 

 その複写したものを見るとどうして変更されたのかの謎がわかります。つまり総頁数が異なります。844頁です。私が所有しているのが856頁です。右側中央上段に記載されています。

「總説篇」で6頁の削除と「敎育篇『生長の家』の敎育法」で6頁が削除されています。これは事前検閲ではなく内務省からの指摘があり、それから修正した可能性があります。それがどうして判明できるかといいますと、事前検閲は昭和11年以前であると理解して戴きたい。ある程度内務省からの検閲を逃れるために掲載しないことを行っていました。だが『生命の實相』の菊装版から更に検閲が厳しくなり、指摘されることも多くなってきました。また発行日の下側にカッコ内で5000部という表記がありますが、これは用紙の配給の爲、その数量が5000部しか印刷出来なかったことを著しています。昭和15年以降の出版物にはそうした限定本というのが多くなってきます。

 

これは前頁に指摘した

     百事如意

    『生命の實相』第二巻 黒布表紙版

    『生命の實相』信の巻 

    『生命の實相』第六巻 菊判 光明篇・宗敎問答篇・質疑篇

但し、私が更に調べた結果も発表させていただきます。

上記の四著作から更に、

    『生命の實相』菊判装第二巻 經典篇・經典篇・生命篇

    『生命の實相』菊判装第九巻 女性敎育篇・家庭敎育篇・佛敎篇

    『生命の實相』地の巻 

⑧   『生命の實相』第二巻 黒布表紙版

 

上記以外にもあるのかも知れませんが、詳細については不明です。

結論をいいますと、昭和18年頃に再版や限定本とされて発行されている本の多くは削除されて出版されています。

今回の印刷された奥付をみると印刷者が会社から個人名に変更しています。これは内務省からの取締を逃れるための方策であったと思います。会社であれば印刷が出来なくなる可能性があり、それを未然に防ぐ爲に個人名に変更しています。

 

それでは何故、発行日を異なる日にしたかといいますと、やはり削除されたことにより要点が分からなくなる、その為に当初の本と異なるということで、発行日を変えた可能性があります。

 

因みに当時の検閲は内務省に所属していた「警視庁特別高等警察部検閲課」という、いわゆる「特高」における検閲であります。当時は新興宗教を「類似宗教」とよび、その検閲にあたっていました。

 

出版法(明治26 年)

第七条文書図画ノ発行者ハ其ノ氏名、住所及発行ノ年月日ヲ其ノ文書図画ノ末尾ニ記載スヘシ

第八条文書図画ノ印刷者ハ其ノ氏名、住所及印刷ノ年月日ヲ其ノ文書図画ノ末尾ニ記載シ住所ト印刷所ト同シカラサルトキハ印刷所ヲモ記載スヘシ(以下略)

 

明治26 年「出版法」では、発行者の住所氏名、発行年月日、印刷者の住所氏名、印刷日を「文書図画の末尾に」記載することを義務づけました。現在、私たちが奥付と呼んでいる場所です。戦前の書籍の奥付に、わずか数日異なるだけの印刷日と発行日が2 行に並んでいるのは、この法令により記載が義務づけられたためです。

 

 また、今回御指摘戴きました御方に深く感謝申し上げたい。このように御指摘が大変勉強になります。御指摘は大歓迎ですので宜しくお願い致します。