「三次の朝靄」 谷口雅春

 

蜩(ひぐらし)の 如くに河鹿 啼きてあり こころと聴え ほとほとときこゆ

 

河縁(かはぷち)の 宿に来りて 瀬音聴けば こころ浄まり 月澄みてあり

 

まんまるに 月のぼるなり 遠山は 靄(もや)にかすみて 静かなる春

 

三原より 三次(みよし)に来り 法(のり)伝ふ 河縁の宿に 河鹿鳴く聴く

 

河鹿の音 いよいよ深く 澄み切れば 静けさまさり 春更けてけり

 

河ぷちの 宿は静かに たそがれぬ かなかなのごと 河鹿きこゆも

 

満ん月は いよいよ高く 澄みきるに 瀬音しげくも 光くだけて

 

幾そたび 砕け散るとも 実相の 月ははろけく 澄み切れるかな

 

遥々と 三次に来り 法(のり)つたふ 我を迎ふと 河鹿啼くなり

 

河鹿の 三次の宿の 桜並樹(さくらなみき) 葉既に出でて 春老いにけり

 

春ふけて 遠山かすむ 河縁の 三次にをれば 此処実相なり

 

国を救ふ 今日も救への 旅の宿 行く先さきが 浄土なりけり

 

河鹿の音 愈々澄めば わがこころ いよいよ澄みて 月まろきかな

 

霧晴れて のちの朝日に 輝きて 遠山ちかく 煙たつなり

 

国いのる 講習会に 集れる 人ををろがみ 我も国いのる

 

天皇は 絶対なりと 知りしより 神州不滅 いよゝ尊し

 

昭和16年春、谷口雅春先生は広島を始めとして呉、三原、徳山、岩国と中国路を御巡錫された。

 

昭和16年春、この年の『生長の家』誌新年号には「大日本神国観」を発表されて

「(この)神想觀を、正月元日から実修して御覧なさい。度重なるにつけて、真に日本国家の荘厳極りなく聖恩限りなく有り難きことが感得せられるでありませう。」