私の父は明治生まれである。私自身は厳しく、躾されたような思い出はない。だが長男などは厳しかったと云っていた。
ただ、明治から大正そして昭和、平成と生きてきたなかで、何かが違うのである。それは言葉でいうのは簡単なのかも知れない。だが、どんなに優しい言葉で諭しても、決定的な違いがあるのです。
それは、ズボッと注入されている「日本精神」というのが違いとしてあるのです。私などは「戦後教育」の渦中で「日本は悪い事を行った」という精神がどこかに残っているのです。どんなに拭い去ろうとも、心の隅に残っているのであります。
「生長の家」で日本の良さや天皇陛下の素晴らしさを勉強してきました、それでもまだまだ勉強したらないものがある。
安岡正篤という人物は生長の家の信徒ならば御存知であろう。
例えば
【道徳と宗教ー敬と恥】
人の人たる所以は、「道徳」を持っていることである。それは「敬」する心と「恥」ずる心に現れる。
敬する心は、人が限りなく発達を望み、未完成なものに満足せず、より完全で偉大なものに憧れるところから
生まれてくる。そして、敬する心が生まれると、必ず恥ずる心が生まれてくる。
敬する心と、恥ずる心は相待関係のものである。
しかし、今日の教育はその大切な敬する心を省みなくなっている。
それは、戦後西洋教育が「愛する」ということのみを重んじる教育であった、ということが一番の原因である。
愛というものは、女性―母の特性であります。愛のみを強調した結果、大事なのは母だけと言うことになり
男性―父の存在価値が次第に薄れて行ったのです。
家庭において、子供は本能的に母親に「愛」を、父親に「敬」を求める。人間は敬する気持ちを持つと、
自らその敬するものに少しでも近づこうとする気持ちが起こってくる。
愛とは別の憧憬を、その敬の対象に持つようになる。
これを「参」―さんずる、まいると言う。これが更に進むと、側近く仕えたくなる。
「侍」-はべるとか「候」-さぶらうとなる。
日本語の「参った」というのは、単に好きとか、愛するというのと意味が違う。
相手を敬の対象として、己の理想像として礼讃するのです。
この「敬」の心が主体となり、一連の精神が発達し、作り上げたのが宗教です。人間は敬することを知ると、
自ら恥ずることを知るようになります。
そこから、つつしむ、いましめる、おそれる、修める、という心理が発達する。
これが宗教に対する道徳の本義です。従って、道徳の中に宗教があり、宗教の中に道徳がある。
仰ぐー敬する。省みるー恥ずる。この相対性心理が人間の根本的な「徳」である。
この安岡正篤氏は東大阪という所で生れておられます。
東大阪の孔舎衙(くさか)という場所で生れられておられます。孔舎衙といえば古事記を勉強されている人は知っておられると思います。
「古事記」にある「草香山」と「饒速日山」(にぎはやひやま)を考えてみます。
まず、日下と書いてなぜ「クサカ」と読むのかということですが、その語源にはいろいろな説があります。
その中で、古くは「日の下(した・もと)のクサカ」という言い方があり、クサカの地が、山越え道を通じて大和の入口にあたる重要な地として一早く開かれ、この地クサカの背後に連なる生駒山から上る太陽つまり日下(ひのした)を「くさか」と訓むようになったという説が有力です。
古代の文献、『古事記』や『日本書紀』の神武天皇東征の物語に、皇軍が日向から筑紫~吉備を経て大阪湾のさらに奥、生駒山のふもと日下の入江にあった「河内国草香邑青雲白肩之津」に上陸したことが書かれていて、大和への入口の地として初めて日下の地が登場します。
皇軍は、大和へ入るため、一度は南下して龍田に出ようとしましたが難行して再び引き返し、直ちに東へ向か
って、膽駒山(生駒山)を越えようとしましたが、これを知った長髄彦(ながすねひこ)は、孔舎衛坂(くさえざか)で激しく防戦したため、皇軍は戦利なく後退し、兄の五瀬命(いつせのみこと)も負傷された。
これは、東方の日(太陽)に向かって進んだための不吉である、として草香津へ引返し、盾を立て並べて雄叫びしたので、この津を「盾津」と改めた、という話はよく知られています。
この地域は少し高低差があり日下という場所は少しだけですが山なりになっているのです。その証拠として一番盛り上がっている土地の部分に日下遺跡(日下貝塚)があります。ここで、多量の貝塚や人骨や馬の遺骨なども出土しています。
昔からの精神というのか、その土地の風土というのか身土不二というべきなのか、そういう場所で生誕すると「安岡正篤」氏のような日本精神がどっしりと根付いたものが注入されるのです。
ただ、そのときに必要なものは勉学することなんです。何もしなければ何も残らないし、反対に悪く考える場合がある。
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