私の好きな奈良の風景というのは葛城山の麓から見る秋津の風景です。

現在は葛城古道ということでハイキングも盛んに行われています。私がとりわけ印象に残っているのは綏靖天皇 葛城高丘宮阯碑の付近は北の方向には大和三山が見えます。遥か吉野山が見えます。
そこに現在の橿原の神武天皇御陵ではなく御所市柏原という地域に神武天皇が国見した山もあります。手前には孝昭天皇の御陵が見えます。
町並みの向こうに日本武尊の大和御陵があります。
その手前には沢山の古墳があります。
すぐ近くに長柄という地域があり、葛城山からの水流により蛇行した川が見えます。それが洲となり長柄という語源に繋がる深く入り込んだ長洲がこの長柄の言葉です。日本人がどのようにして生活したのか垣間見える風景です。
その葛城山の麓にある葛城高丘宮趾の正面には秋津という地名のある所がある。万葉集の秋津島大和の国はの秋津です。島というのが付いたのが葛城山や金剛山から流れた水がその地域を島のようにポツンと浮き上がるように映ったのではないか。
神武天皇が国見山に登ったときに「ああ、なんと美しい国なんだろう!国原は緑したたる山々に囲まれ、あたかも蜻蛉の臂拈(となめ)しているようだ」
その地域を今は秋津と呼んでいます。日本の国を秋津洲と呼ぶようになった最初です。
そうした神武天皇もその美しさに感嘆した地域。

古事記の時代は水辺の鳥が沢山飛んでいたのであろう。そこに溢れるような蜻蛉が滑空していたのでしょう。
この地域に鴨という字がつく神社が三ヶ所あります。鴨都波神社と高鴨神社と鴨山口神社です。この地名でもわかるように鴨が沢山飛来していたんだなということが想像つきます。
この鴨というのが全国にある加茂にその由来の発祥の地です。

そんなことを想像しながら日本の風景を眺めるのが贅沢な憧憬である。
うるわしき葛城の古代風景・秋津洲古墳の道